RI会長代理挨拶

RI会長代理

中 島 治一郎

 第2540地区へ会長代理として参りまして、本当に心から喜んでおります。つい今月の8〜9日に札幌でロータリー研究会がありました。これは毎年暮れにやっておりますが、日本におりますガバナー、パストガバナー、ガバナーノミニーが集まりまして勉強会を2日間開催しておりまして今年はたまたま札幌でしたが、いつもは12月に行っているのでありますが、12月の札幌は寒いために10月に行いました。

 グレン・W・キンロス会長ご夫妻もお見えになりました。私はキンロス会長がロシアでカンファランスをおやりになり、西ドイツ経由で関西国際空港にお着きになるということで、6日にお迎えに参りました。そのままご一緒に札幌まで同行させていただきました。昨日の朝までご一緒させて頂きましたので、5日間会長ご夫妻と一緒でした。5日間もご一緒するということは大変めずらしいことでありまして、お2人からくれぐれも第2540地区の皆さんによろしくお伝え下さいとのことでした。このようなことは通常あり得ないことでありますが、昨日の朝言われてきましたので、温かい心のこもったご夫妻の挨拶でございまして確かにお届けいたします。

 キンロス会長さんが今年抱えているテーマは、今ガバナーさんもお話なさいましたように、私流の表現を使えば皆さん方の地域社会へそして世界の皆さん方へ思いやりの普及をみんなでやりましょうということだと思います。

 思いやりの普及をしようと思いますと、関心をあらゆる事に持たなければ出来ないわけであります。ところが私達が反省しますとなかなか関心を持ちにくいような環境になっております。例えば地域社会の皆さんが住んで居られる町の出来事に対しての関心でありますが、自分のクラブのメンバーの方々が、果たして自分の地域の社会に関心を持っているかと言いますと必ずしもイエスではないと思います。例えば自分の町のどこでよく交通事故が起きて、その原因が何で、どうすればそれが解決できるのかということに対する関心、もっと大きな事は、自分の町の中学生や高校生がどんな心理状況にあるかというようなことに対する関心、しょっちゅう学校の先生をお招きして講演をしていただきそのような事に対するお話を伺うというようなことをしていない、なかなかしていないと思います。

 そのような関心も持たないで、その町をよくする努力は空しいことだと思います。先ず関心を持って、その関心を持ったことにどのように対処すれば少しでも良くなるかということにアプローチしなければ意味がないと思います。

 私達ロータリーは実践を重んじており、ただ思いやりを持っただけではだめなのであります。思いやったことを実行しなければならないのであります。

 是非ロータリーの皆様方に呼びかけをして、大いに地域社会で起こっていることに関心を持つようにして頂きたい。

 二ヶ月ほど前に神戸の須磨で中学2年生の男の子が殺人事件を起こしました。まだ皆さんの記憶にも新しいと思いますが、その時にジャーナリズムが同年輩の子供達にどう思いますかと尋ねました。殆ど100%に近い子供達があの気持ちはよく分かる、ひどいことをしたというだけではないわけであります。環境も理解できると言っているのであります。京大に佐伯さんという人間関係学の専門家がおられますが、その方はジャーナリズムのニュースだけでなく、自分でインタビューに回って調査した結果も同じような結果でありました。神戸の子供だけでなく広く日本の同年輩の方々にあの事件は同情できるという答えを得ているわけであります。これは21世紀を背負うあの年代の子供がそういう心理状態にあるということは大変なことだと思います。皆さんの町にも、そのような子供が大勢いるわけであります。しかしそういう事実を把握していないのが実態だと思います。私は自分のクラブにも呼びかけ、学校の先生をお招きして話を伺う機会を持つようにしております。その背景は人間に対する信頼を若い人達、子供達が失いかけているということであります。今中学の2年ぐらいになりますと大体自分の将来が読めるわけであります。自分は一流の高校に行けないということになりますとBクラスかCクラスの人生だと読めるわけであります。そうすると自分の将来が暗くなり、周りを見回すと信頼できる大人が殆どいない(親も先生も含めて)信頼できない、友達もそうだ、ただいじめを避けるだけで精一杯という人間に対する信頼を失った子供が多いのであります。これは私達がどうすればいいのか、政府が手を下してくれるわけでもなく、学校もポリシーが無く、親もだめだとなれば、思いやりのロータリーの出番だと思います。このように1つ青少年の育成の問題を取り上げても、自分の地域社会の出来事に関心を持って大切なことから先ず手掛けて努力をしてみる、それには優秀な同志がたくさん必要なわけであります。同志が増えればふえる程活気を帯びるわけであり、自分達がやろうとすることが出来るようになるのであります。増強といいますとまた数を増やせということかと言いますが、同志を増やさずして活動は出来ないのであって、是非とも力強く一人でも仲間を増やす努力をしていただきたい。ガバナーさんにお目にかかり、この地区で一番皆さんに協力して欲しいことは何かとお聞きしましたところ「増強」だと言われました。今1860人おりますが、2000人台まで7.5%程増やさなければならないわけでありますが、これはガバナーと会長さんとの間だけの問題でありまして、皆さん方とのしっかりした具体的なターゲットを持って前進しないとなかなか目標達成は出来ません。例えば各クラブが一割増というようなターゲットをたてて進めていただきたい、ただこれを会員に直接伝えますと「またか」というようなことになります。ここでは通訳が必要なのであります。今申しましたように「なぜ同志を増やすことが必要か」ということを会員に訴えていただき会員をその気持ちになってもらうことが必要であります。

 もう一点はロータリー財団の協力だということがありました。私がこの地区に派遣された背景はロータリー財団への協力を御願いして欲しいというRI会長さん、ロータリー財団委員長さんの意向があったのではないかという思いがするわけであります。

 直前ガバナー黒澤さんの実績はあまり良くありません。一人あたりこの地区の寄付は僅か一人あたり51ドル71セントでありました。これは日本の34地区の中で最低でございました。

 グレン会長さんは歯にきぬを着せず直接にものを言う方でありまして、今世界で一年間6千万ドル、120万人の会員がおりますから一人当たりの平均が50ドルであります。世界の平均から一ドル余分に寄付を頂いておりますが、これは発展途上国も含まれるわけでありますが、日本は世界の26.7%の支援をしており、その数字から見ると皆さんの協力は非常に低いと言わざるを得ないのであります。私は数字上のことでどうのこうの言う気持ちはありません。ロータリー財団への補給は自由であります。プッシュしてはならないと言うことになっております。ロータリーへの協力の選択肢はいろいろあります。ロータリー財団へのお金の寄付だけが協力ではないのであります。

 しかしながら秋田にいて世界的な規模で地球を良くしようという方向での努力はチャンスはなかなかありません。たまたまロータリーにはロータリー財団がありまして、そこは世界を少しでも良くしようというプログラムがたくさんあるわけであり、そのプログラムをつかって世界を良くする努力に参加してみようということになると寄付を頂くことになり、1つの目安であります。やはりこのような思いが強くなりますと寄付が増えるわけでありまして、是非各クラブにお帰りなりましたら、実績をお話しいただき目安を上げてみようかというような話で呼びかけていただきたい。

 先程青少年の問題でもロータリーには解決するプログラムがたくさんあります。ローターアクト、インターアクトは素晴らしいプログラムであります。しかしこれをスポンサーしているクラブは金食いだとか言いまして積極的にこれを育てようとしないのでありますが、私は育てよう、使いようによっては素晴らしい道具だと思っております。そして青少年交換というプログラムもあります。私共の地区からインドへ昨年1年間青少年交換で行った17歳の女の子の帰国報告を聞きました。感動的でございました。彼女はインドの一年間は辛かった、けれども一番救われたのは子供の表情だったと言うことであります。私達の食べられない食物を食べながらでも非常に嬉しい顔をしており、野原で遊んでいる子供のあどけなさの顔を見たときに、ああ昔の日本もこうでなかったかなあ、今こんな素晴らしい表情をしている子供は日本にはいないなあと言う報告を私達にしてくれたのであります。17歳の子供がそのように感じて帰って広めてくれるということは、これ1つだけでも非常に大きいインパクトがあると思っております。今日本で青少年の育成に必要な方向の一つであると思います。同年輩の子供がそういうことを宣伝してくれると広がりも大きいのであります。ロータリーはいいプログラムをたくさんもっており、ロータリー財団も、しかりであります。毎年400人ぐらいの学生が外国で勉強しております。

 この日本の学生はお金がたくさんあるから、何もロータリー財団で出さなくても良いのではないかというような話もありますが、ロータリー財団の奨学生として行けるのは一つの良い意味のプライドであって、彼等を一生懸命その道に進ませる原動力になっているのであって、そして彼等が日本のPRを一年間やってくれるし、又日本で自分の学んだことを広めてくれるこの交換は素晴らしいことだと思います。今日本の中だけで日本だけを見ている子供よりも広く世界を見てきた子供とミックスして考え方を広げることは大事なことだと思います。このような奨学生の制度、GSE、同額補助金、3Hプログラム、たくさん良いプログラムを持っておりますが、それにはお金が必要なのであります。寄付してくれというのではなくて、良いプログラムがたくさんあるというPRを是非して頂きその為には金が必要なんだということを訴えかけていただきたい。来年出来ましたらもう一度会長代理としてではなく、別の形で皆さんの地区大会へ参加させて頂きたいと思っております。その時に成績が昨年度に較べてかなり上位になったというようなニュースを聞くことが出来れば本当に嬉しいことだなあと、今夢を見ております。是非、皆さんがお帰りになりましたらガバナーの望まれるように同志を増やして秋田を住み良い県になるように努力していただき、ロータリー財団への支援を積極的に頂き世界の平和を増進するためのプログラムの活性にご協力を心から念ずる次第であります。

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